経ヶ峰に生息する重要な種①

 重要な種だけが大事ではありません。生態系を形作っているのは、さまざまな種類の動物たちです。その一つが欠けても、生態系に何らかの影響を与えます。とはいえ、数が少なくなり、守らなければならない種もあります。今回の環境影響評価調査書に載っている、経ヶ峰で確認された重要な種を紹介します。

 

ヤマドリ(準絶滅危惧種

 日本固有種の留鳥。本州から九州までの山地の、よく茂った林で見られ、沢沿いの暗い林に多い。今回の調査では対象事業区域内で13例、14個体が、そのうち改変区域内で2例3個体が確認されています。またICレコーダーによる夜間調査でも鳴き声を確認。

ヤマドリ

ジュウイチ(繁殖個体群ランク2:絶滅危惧種

 夏鳥として北海道から九州にかけて渡来し、九州以北で繁殖。林内や林縁で、特に蛾類の幼虫を採食。自分で巣を作らず、雌は仮親の産卵期の巣を選んで卵を一個抜き取り、自分の卵を一個托卵する。孵化した雛は仮親の卵や雛を巣から放り出す。ICレコーダーによる夜間調査で、対象事業区域内で4か所、6回。改変区域内で2か所、3回鳴き声を確認。

ジュウイチ

ホトトギス(繁殖個体群ランク3:準絶滅危惧種

 夏鳥として渡来し、北海道南部から九州までの各地域で繁殖する。托卵習性をもち、主な仮親はウグイスである。低地から山地のささ藪にある林に生息。対象事業区域内で11例11個体、改変区域内で1例1個体を確認。ICレコーダーによる夜間調査で、対象事業区域内で5か所、20回。改変区域内で3か所、16回鳴き声を確認。

ホトトギス

 どの重要種についても評価はだいたい同じです。コピペみたいです。

「生息環境の一部が減少する。しかし、工事に当たっては樹木の伐採を必要最小限とし、可能な限り伐採範囲の最小化を図ることから、影響は低減される」

「繁殖や採餌に係る移動経路の一部が阻害される可能性がある」が「風力発電機間には迂回可能な空間が確保されていることから影響は低減される」

「工事に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体が逃避する可能性がある」が、「工事の実施に伴う騒音は一時的であり、工事に当たっては、可能な限り低騒音型の建設機械を使用することから、影響は低減される」

ブレード・タワーへの衝突などについて、「既存知見はほとんどないため、予測には不確実性が残る」と書いてあるものの、おおむね上のような評価がなされています。

 

 人間が住む住宅地でこんな評価をしたら住民は怒りますよね。人間のおごりを感じる文章です。自分たちも「生物多様性」に支えられる「生態系」の一部なのに…。