武田恵世氏の講演

 3月3日、旧辰水小学校で行われた風力発電学習会での、武田恵世氏の講演会の様子はこちら。(1時間余りあります。少し長いです。)

 風力発電自然エネルギーだから二酸化炭素を減らすことができ地球温暖化を抑制できる。そして原子力発電所を減らすことができる。そう思っている方もいらっしゃるでしょう。武田氏は「現時点では風力発電では地球温暖化を抑制することはできない。」と言います。風力発電は風をエネルギー源とします。しかし、常時発電できるわけではありません。施設利用率は20%です。どういうことかというと、3000kw級の風車と言うのは最大で3000kw発電できる能力があるということですが、実際はその20%ほどしか発電できていないということです。電源としては不安定と言うことです。
 風が吹けば発電量は増えますが、風が吹かなければ発電量ががくっと落ちます。その大きく減少する分を補うために、バックアップ電源として火力発電所を稼働・待機させておかなければなりません。待機電源として稼働させるということは、車に例えるなら暖気運転をしているようなものなので燃費は落ちます。その結果、火力発電だけを稼働させた時よりも、風力発電+火力発電の時の方が二酸化炭素はむしろ増えてしまうと武田氏は指摘します。一方、発電量が需要量を大幅に上回る時、現在の日本のシステムでは自然エネルギーは火力や原子力より先に送電線への接続をはずされてしまいます。
 このように風力発電は、自然に優しいと思われがちですが、今のシステムの中では、そのイメージは幻想と言うことです。風力発電を増やせば原子力発電は減らせる、地球温暖化は抑制できるというような単純なものではないということです。この武田氏の指摘にショックを受けた参加者は多かったのではないでしょうか。